(読み)がん

精選版 日本国語大辞典 「丸」の意味・読み・例文・類語

がん グヮン【丸】

[1] 〘名〙
魚肉鳥肉をつぶしてまるめた団子すまし汁に入れる。
② (「丸無点(がんむてん)」の意から) 「九」を表わす学生仲間の符丁
[2] 〘接尾〙
① 丸薬の名に添える。
小右記‐永延元年(987)六月九日「赤痢猶未愈。仍服呵梨勒丸世丸
② 丸薬を数えるのに用いる。
実隆公記‐明応五年(1496)九月一〇日「俊通朝臣蘇香円〈廿丸〉佐渡土産干鴈一贈之」

まる‐ま・る【丸】

〘自ラ五(四)〙
① 丸くなる。
※三体詩幻雲抄(1527)「雨が湿せば塵ほこりがまるまって不起也」
② とりまくように寄り集まる。
※羅葡日辞書(1595)「Conglobatim〈略〉ツドイ カサナッテ、ヒトツニ marumatte(マルマッテ)

まるか・る【丸】

〘自ラ四〙
① 丸くなる。丸くなって集まる。
※玉塵抄(1563)七「天地わかれぬさきはまるかって」
② かたまる。まとまる。また、一つにまとまって力を合わせる。
※漢書列伝綿景抄(1467頃)「ひとつにまるかりて伐てのぼらば」

がん‐・ずる グヮン‥【丸】

〘他サ変〙 ぐゎん・ず 〘他サ変〙 まるめる。薬をまるめて丸薬にする。
※玉塵抄(1563)一五「新を丸じたてたをきって、片片にして煎ずるぞ」
※俳諧・犬子集(1633)六「くすしの宿にて 気のくすり丸じてふらす霰かな〈貞徳〉」

まるか・す【丸】

〘他サ四〙 =まろかす(丸)
サントスの御作業(1591)一「ユキ ノ マルカセ、ダイショウ ナナツ marucaxi(マルカシ)

まるまっ‐ち・い【丸】

〘形口〙 (「まるまるしい(丸丸)」の変化した語) いかにもまるまるとしている。まるまるとして可愛らしい。まるまるちい。まるぼっちい。
湯島詣(1899)〈泉鏡花〉二四「丸々ッちい、幼い顔を出されて、懐を探ると」

まる・ける【丸】

〘他カ下一〙 (「まるげる」とも) 丸くする。丸める。
※俳諧・炭俵(1694)上「ふとん丸げてものおもひ居る〈芭蕉〉」

まる‐・む【丸】

〘他マ下二〙 ⇒まるめる(丸)

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デジタル大辞泉 「丸」の意味・読み・例文・類語

まる【丸/円】

《「まろ」の音変化》
[名]
まるい形。円形。また、球形。「該当する項目を―で囲む」
答案などに正解または合格・優良の評価の意味でつけるまるい印。「正しい答えに―をつける」「図画で三重―をもらう」

句点。文の終わりにつける「。」の符号。
半濁点。「ぱ」「ピ」などの「゜」の符号。
数字の零を読み上げるときにいう語。「いちさん―(=10時30分)に到着」
金銭のこと。会話で親指と人差し指とで輪をつくって示すこともある。

㋐《甲羅が円形であるところから》主に関西で、スッポンのこと。
「鯛と烏賊のつくり合せや、―の吸物に」〈里見弴多情仏心
㋑料理に使う骨付きのドジョウ。また関西で、ウナギのこと。
城郭の内部。近世の城郭で内郭・外郭の外周をいい、その位置から本丸、二の丸、三の丸などと称する。「―の内」
円形の紋所の名。円形単独のもののほか、すすきの丸、鶴の丸など他の模様と組み合わせたものもある。
完全で、欠けたところのないこと。また、全部を包含していること。まるごと。「リンゴを―のままかじる」
「―に一夜さ添ひ果てず」〈浄・無間鐘〉
10
㋐重さの単位。一丸は50斤で、約30キロ。
和紙を数える単位。一丸は、半紙では6締め、奉書紙では10束。
11 江戸吉原遊郭で、遊女の揚代倍額になる日。正月節句の日など。丸の日。
[接頭]
数詞に付いて、その数が欠けることなく満ちている意を表す。「―一日」「―一月ひとつき
名詞に付いて、完全にその状態である、の意を表す。全体。そっくり。「―もうけ」「―焼け」
[接尾]《「まろ(麻呂)」から転じて》
人名、特に稚児に用いる。「石童―」「牛若―」
船の名に用いる。「海神―」
刀・楽器その他の器物の名に用いる。「蜘蛛切くもきり―」
犬や馬などの名に用いる。「常陸ひたち―」「木下―」
[下接語]かど北の丸黒丸三の丸たる手丸出丸とい唐丸胴丸西の丸二重丸二の丸日の丸本丸丸丸真ん丸
[類語]1記号符号目印マーク標識指標ばつペケ略号目盛り丸っこい丸まっちい丸丸丸いまろ真ん丸まろやかまどつぶ円形球形球状輪形同心円半円楕円長円大円真円正円真ん丸いくりくりたまご形ループっかリング丸まる丸める団団団子状/(2ぴんぽんビンゴヒット当たり的中命中百発百中大当たり正解正答花丸名答御名答/(3句点読点句読点

がん【丸】[漢字項目]

[音]ガン(グヮン)(呉) [訓]まる まるい まるめる
学習漢字]2年
〈ガン〉
まるい粒・塊。「丸薬一丸睾丸こうがん弾丸砲丸
丸薬。「地黄丸じおうがん長命丸
〈まる〉「丸顔丸首丸腰丸太丸裸本丸
[名のり]まろ

まろ【丸/円】

[名・形動ナリ]
まるいもの。また、まるいさま。
「大きなる松の木などの二三尺にて―なる」〈・三〇六〉
丸々とふとっているさま。
「―にうつくしく肥えたりし人の」〈宿木
まるまる全部。
秀歌を―ながら取られて侍るが」〈毎月抄
ぜに
「銭を―ともいふなり」〈塵添壒嚢抄
他の語の上に付いて複合語をつくり、ひとかたまりのままの、そのままの、などの意を表す。
「紐解かず―寝をすればいぶせみと」〈・四一一三〉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「丸」の意味・わかりやすい解説


まる

日本の船名のあとにつけられる語で,使われた上限は 12世紀末期までさかのぼる。一般に普及したのは室町時代以後で,小船を除いてほとんどの船が船名のあとにこの丸号をつけた。その由来には諸説があって,定説はない。しかし目下のところでは,刀や楽器などに丸をつけたのと同様に,船主が自己の所有船に対する愛称として用いたとする説が最も無難のようである。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【舟∥船】より


【船の歴史】
 ごく初期の舟には,大別して三つの構造様式がある。それは(1)丸木舟,(2)いかだ,(3)動物の革(皮)の舟である。丸木舟は大きい丸太をくり抜き,両端をとがらせて作るため〈くり舟dugout〉とも呼ばれる。…

※「丸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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