中空(読み)ナカゾラ

デジタル大辞泉 「中空」の意味・読み・例文・類語

なか‐ぞら【中空】

[名]空の中ほど。中天
「―までも立ち昇る烈々とした炎の色は」〈芥川地獄変
[形動ナリ]
どちらともきまらないさま。中途半端。
「いづ方にも寄らず―にうき御宿世なりければ」〈柏木
心が落ち着かないさま。うわのそら。
初雁のはつかに声を聞きしより―にのみ物を思ふかな」〈古今・恋一〉
いいかげんなさま。おろそか。
「女のためも―にこそならめ」〈徒然・一九〇〉
[類語]中空ちゅうくう中天天空天穹てんきゅう穹窿きゅうりゅう蒼穹そうきゅう太虚たいきょ上天天球青空青天井ちゅうくう空中虚空こくう上空大空高空低空

ちゅう‐くう【中空】

空の中ほど。なかぞら。中天。「中空に舞うとんび
物の内部がからになっていること。うつろ。「中空の茎」
[類語]中空なかぞら中天天空天穹てんきゅう穹窿きゅうりゅう蒼穹そうきゅう太虚たいきょ上天天球青空青天井ちゅうくう空中虚空こくう上空大空高空低空

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「中空」の意味・読み・例文・類語

なか‐ぞら【中空】

[1] 〘名〙
① 空の中ほど。空中。
(イ) 空の中を漠然とさす。(二)の意を掛けて用いる場合もある。
※伊勢物語(10C前)二一「中そらに立ちゐる雲のあともなく身のはかなくもなりにける哉」
(ロ) 天頂と地平線との中間に当たる空。
※弘長百首(1261)春「見ずもあらず見もせぬ影の中空にあやなくかすむ春のよの月〈藤原為氏〉」
② 出発点から到着地までの中間をさしていう。中途。
※後拾遺(1086)雑六・一一九三「道遠み中空にてや帰らまし思へばかりの宿ぞうれしき康資王母〉」
[2] 〘形動〙
① どっちつかずで中途半端なさま。途中でやめてしまって、中途半端なさま。
※後撰(951‐953頃)恋三・七七四「葛木やくめ地の橋にあらばこそ思ふ心をなかそらにせめ〈よみ人しらず〉」
② 精神の不安定なさま。落ち着かないさま。うわのそら。
※古今(905‐914)恋一・四八一「はつかりのはつかに声を聞きしよりなかそらにのみ物を思ふ哉〈凡河内躬恒〉」
③ いい加減なさま。なまはんかなさま。
狭衣物語(1069‐77頃か)二「中空に見奉りなさで」

ちゅう‐くう【中空】

〘名〙
① (「宙空」とも) 空の中ほど。なかぞら。虚空(こくう)。中天。半空半天
※宝の山(1891)〈川上眉山〉一「そは大凧に打乗りて稍中空(チウクウ)に登りし頃」
② 内部がからになっていること。がらんどう。空虚。
※改訂増補物理階梯(1876)〈片山淳吉〉一「黄金を以て中空(ウツロ)の円球を造り其内に水を充て之を固封して」

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普及版 字通 「中空」の読み・字形・画数・意味

【中空】ちゆうくう

中虚。

字通「中」の項目を見る

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