一視同仁(読み)イッシドウジン

デジタル大辞泉 「一視同仁」の意味・読み・例文・類語

いっし‐どうじん【一視同仁】

韓愈原人」から》すべての人を差別なく平等に愛すること。

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精選版 日本国語大辞典 「一視同仁」の意味・読み・例文・類語

いっし‐どうじん【一視同仁】

〘名〙 だれかれの差別なく、すべての人を平等に見て一様に愛すること。一視。
童子問(1707)中「各尽一視同仁之心」 〔韓愈‐原人〕

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四字熟語を知る辞典 「一視同仁」の解説

一視同仁

だれかれの差別なく、すべての人を平等に見て一様に愛すること。

[使用例] 人間は、一視同仁ですからね、追放しなくたっていいと思いますがね。人間の本然の愛というものは、どんな場合にだって忘れられるわけのものじゃないんだ[太宰治パンドラの匣|1946]

[使用例] 最後に、検事閣下は、社会主義者は累犯の恐れがあるから、厳罰に処せよとのことであったが、法律は一視同仁で、罪のない者を罪に落すことはできない。判官諸公には、充分冷静なご判断を乞うものである[瀬戸内晴美遠い声|1970]

[使用例] 警戒心は警戒心として、すこし離れたところから一視同仁に包みこんでしまう笑いだった[古井由吉つまごみ|1970]

[解説] 唐代の詩人かんの「原人」という文章に「聖人は一視にして同仁」(=聖人は人や動物などを等しく愛する)と出てきます。「一視」は「同一視」のこと。「どれも一つのものと見る」ということです。また、「同仁」は「どれも同じくいつくしむ」ということです。
 多く、「平等」の意味で使われます。たとえば、「いい客も悪い客も一視同仁に扱う」は、要するに「どの客も平等に扱う」ということです。
 例文も、この意味で解釈できます。[パンドラの匣]の「人間は、一視同仁ですからね」は「人間は平等ですからね」ということ。[遠い声]の「法律は一視同仁」も「法律は平等」ということ。そして、[妻隠]の「一視同仁に包み込んでしまう笑い」は「どんな男も平等に包み込む笑い」ということです。
 「同仁」は、実は歴史の教科書でおなじみです。京都しょう銀閣のあるところ)のとうぐうどうに「どうじんさい」という書斎があります。書院造りの部屋で、東山文化の代表的建築とされています。

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