ンデベレ族(読み)ンデベレぞく(英語表記)Ndebele

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ンデベレ族」の意味・わかりやすい解説

ンデベレ族
ンデベレぞく
Ndebele

ジンバブエ南部のマタベレランド地方および南アフリカ共和国北東部のトランスバール地方に居住する民族。ジンバブエのンデベレ族はかつてマタベレ族 Matabeleと呼ばれた。バンツー語系のシンデベレ語を話す。人口は 200万以上と推定される。19世紀初め,シャカ王支配下にあったナタールズールー族のインドゥナ(軍事指揮官),ムジリカジが部下を連れ軍を離脱して北進し,その後のンデベレ王国の母体を築いた。北進の過程で周辺の諸民族を征服して王国に編入し,最終的にブラワーヨ周辺に定住。しかし 1893年,2代目の王ロベングラのとき,イギリス南アフリカ会社の手によって王国は滅ぼされた。この歴史を反映して,ンデベレの社会はムジリカジの子孫である支配階層ザンシ,北進の過程で編入された諸民族をさすエンラ,最終目的地で征服された先住民ロズウィの三つの階層からなり,異なる階層間の通婚は禁止された。王が政治的・軍事的な指導者であり,その直属の呪医が宗教的な指導者の役割を担っていた。特に女性の呪医が祖先神との交流をはかるとされ,また至高神(ジム)の観念もみられる。主生業はウシ飼育とトウモロコシ栽培で,一夫多妻婚を行ない,父系拡大家族が牛囲いを中心円形に配置された住居に住んだ。またトランスバールのンデベレは,家壁や塀に芸術性豊かな幾何学文様を描くことで知られる。近年は,都市への出稼ぎ労働者が増加している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android