メリト酸(読み)メリトさん(英語表記)mellitic acid

改訂新版 世界大百科事典 「メリト酸」の意味・わかりやすい解説

メリト酸 (メリトさん)
mellitic acid



ベンゼンの6個の水素原子がすべてカルボキシル基で置換された構造をもつベンゼンヘキサカルボン酸のこと。天然には,アルミニウム塩の形で褐炭層中の蜜蠟石melliteとして存在する。融点285~287℃の絹のような針状晶。水,エチルアルコールに可溶。蒸留すると無水ピロメリト酸二酸化炭素分解し,塩化アセチル塩化ベンゾイルと熱すると無水メリト酸になる。

木炭黒鉛硝酸で酸化すると得られる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「メリト酸」の解説

メリト酸
メリトサン
mellitic acid

benzenehexacarboxylic acid.C12H6O12(342.17).木炭や黒鉛を硝酸酸化するか,またはヘキサメチルベンゼンを酸化するなどの方法で得られる.結晶.分解点286~288 ℃.水,エタノールに易溶.塩化アセチルなどで脱水すると無水メリト酸を生じる.蒸留すると脱炭酸を伴い無水ピロメリト酸に,炭酸カルシウム加熱するとトリメシン酸に分解する.みつろう石はメリト酸のアルミニウム塩Al2C12O12・18H2Oである.[CAS 517-60-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メリト酸」の意味・わかりやすい解説

メリト酸
メリトさん
mellitic acid

ベンゼンヘキサカルボン酸のこと。化学式 C6(COOH)6 。ベンゼンの6個の水素原子が6個のカルボキシル基で置換された構造の六塩基酸。黒鉛や木炭を硝酸中で加熱酸化すると生成する。針状晶。融点 286~288℃ (分解) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android