出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
イスラム教徒を意味するアラビア語。女性形ムスリマmuslima,複数形ムスリムーンmuslimūn。本来アラビア語語根s-l-mの第4型動詞aslamaの能動分詞で,〈(神に)絶対的に服従する者〉を意味する。コーランでは,ムハンマドの説いた一神教の信者を指す言葉として,このムスリムと,語根'-m-nの第4型動詞a'manaの能動分詞ムーミンmu'minとが併用され,はるかに後者の頻度が高い。しかし,宗教を呼ぶ名としてのイスラムの確定とともに,イスラム教徒を意味するムスリムという用語も確定した。ヨーロッパには,古く-ānという語尾を伴ったペルシア語形musulmānとして伝えられたが,現在ではフランス語を除きmuslim(moslem等のなまりを含む)が支配的となった。中国の木速児蛮はペルシア語形,穆思林はアラビア語形の音訳である。普通名詞のほか,ムスリムはイスラム教徒の個人名(イスム)としても多く用いられる。
執筆者:嶋田 襄平
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…初めイスラム教徒(ムスリム)によるイベリア半島の呼称であったが,しだいに同半島における彼らの支配領域を指す用語となった。語源は〈バンダル人の国〉のラテン語名Vandaliciaにあり,そのアラビア語なまりがアンダルスである。…
…四姓制度と結合したカースト制度や学生期をはじめとする四生活期(アーシュラマ)の制度はヒンドゥー社会を特色づけている。 イスラム教徒(ムスリム)のインド侵入は8世紀ころにまでさかのぼることができるが,初めはヒンドゥー教のインドになんらかの痕跡を残すようなものではなかった。しかし11世紀以後に北インドに侵入したイスラム教徒は略奪,放火,破壊をほしいままにし,1206年インドに初めてイスラム王朝(奴隷王朝,1206‐90)が成立し,1857年ムガル帝国が滅亡にいたるまでの約650年間,インドはムスリム政権の支配下に置かれた。…
…人口は約860万(1990)。歴史上は回回,回民と呼ばれるが,自らは穆斯林(ムスリム)と称する。回族とは新しい呼称である。…
※「ムスリム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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