マルコ(英語表記)Mark

翻訳|Mark

精選版 日本国語大辞典 「マルコ」の意味・読み・例文・類語

マルコ

(Markos Marcus) 新約聖書「マルコによる福音書」の著者とされる人物。エルサレムで生まれ、パウロペテロに従い宣教活動をした。のちローマの獄中にあったパウロと、苦楽をともにしている。新約聖書には「マルコと呼ばれるヨハネ」と記されている。ヘブライ語名ヨハネ。生没年未詳。

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デジタル大辞泉 「マルコ」の意味・読み・例文・類語

マルコ(Markos)

新約聖書マルコによる福音書」の著者とされる人物。エルサレムで生まれ、ペテロパウロに従い宣教活動をした。新約聖書には「マルコと呼ばれるヨハネ」と記されている。ヨハネはヘブライ語名。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「マルコ」の意味・わかりやすい解説

マルコ
Mark

1世紀半ばの,新約聖書に言及される初代のキリスト教徒の一人で,ヘブライ名はヨハネ(《使徒行伝》12:12)。パウロの《ピレモンへの手紙》24節によれば,パウロがおそらくエペソ(エフェソス)で獄中にあったときのよき協力者であったとされ,《コロサイ人への手紙》4章10節はバルナバのいとこであったとする。《使徒行伝》によれば,マルコの母マリアの家はエルサレムにおける初代教会の集会所であり(12:12),彼はパウロやバルナバとともに異邦人伝道に従事したとされる(12:25~13:13)。《ペテロの第1の手紙》5章13節は彼をペテロの弟子とし,2世紀前半のパピアスは,ペテロの通訳者として彼が《マルコによる福音書》を書いたとしているが(カエサレアのエウセビオス《教会史》),その信憑性疑問視されている。
執筆者:

《マルコによる福音書》の記述内容から,有翼の獅子を象徴とする。福音書記者であり,またペテロの書記でもあったと伝えられることから,本と筆も持物。アレクサンドリアで布教し,そこで司教となり殉教したという伝説に由来して,頭にターバンを巻いたり,司教服を着ていることもある。9世紀に遺体がアレクサンドリアで発見され,海路ベネチアへ運ばれ,途中数々の奇跡がおこったという伝説の諸場面もよく表される。ベネチアでは,遺骨を納めるため,9世紀にサン・マルコ大聖堂が建てられ(現在の建築は11世紀起工),またベネチアの美術には,同市の守護聖人となったマルコや,市の紋章でもある獅子がよく登場する。祝日は4月25日。
執筆者:

マルコ
Marco Kartodikromo
生没年:1890ころ-1932

インドネシアの民族主義運動指導者,ジャーナリスト小説家,詩人。中部ジャワのチェプに下級官吏の子として生まれ,二級原住民学校を卒業後,1911年インドネシア最初のムラユ語(インドネシア語)紙《メダン・プリヤイ》の記者,また13年スラカルタ・イスラム同盟委員として民族主義運動指導者の経歴を開始した。24年共産党に入党してスラカルタ支部議長に就任,26年の共産党蜂起の直後逮捕されて西イリアンに流刑され,同地で病没した。小説《学生ヒジョ》(1919)はとくに名高い。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルコ」の意味・わかりやすい解説

マルコ
Markos; Mark

聖人。1世紀頃活躍。新約聖書の『マルコによる福音書』の著者と目される。「マルコと呼ばれているヨハネ」 (使徒行伝 12・12) と同一人物らしい。バルナバのいとこ。使徒ペテロの通訳者,秘書 (ペテロ1書5・13) ,使徒パウロの同労者 (ピレモン書 24) 。パウロの第1回伝道旅行にはパンフリヤのペルガまで従ったが,ここからエルサレムへ引返した (使徒行伝 13・13) 。しかしこの帰還を理由にパウロの第2回伝道旅行には伴われず,パウロの方針に反対したバルナバとともにクプロへ渡った (同 15・36~40) 。のちパウロの許しを得たらしく有用な人物として言及されている (テモテ2書4・11) 。マルコがイエスの生涯に直接接したかどうかについては暗示的な記事があるが (マルコ福音書 14・51~52) ,推測の域を出ない。エルサレムにあった彼の母マリアの家は祈りのための信者の集合場所であったと伝えられている。4世紀末の伝説によれば,アレクサンドリアに教会を建てそこで死んだという。

マルコ
MARUKO CO., LTD.

体型補整下着を主力に,有店舗試着販売で急成長した女性用下着メーカー。1978年繊維製品の製造及び販売を目的として奈良県橿原市に設立。1979年業界初のファンデーションセットの販売を開始。全国に店舗(サロン)を設置して有店舗試着販売を開始,以後店舗数は急速に伸び,社業拡大の基礎となった。2016年健康関連事業を行なうライザップグループの子会社となる。2018年持株会社体制に移行し MRKホールディングスに社名変更,新設子会社のマルコが下着販売関連事業を継承した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マルコ」の意味・わかりやすい解説

マルコ
まるこ
Markos

1世紀のキリスト教会で活動したとされるエルサレム出身のユダヤ人。『新約聖書』その他の当時の文書に名前をとどめており、ヘブル名で「ヨハネ」ともよばれる。マルコの母マリアの家は、イエスと弟子たちの集会所であったらしい。マルコは従兄弟(いとこ)のバルナバとともに一時パウロの伝道旅行に同行し、またペテロにも通訳として協力した。晩年にはアレクサンドリア教会で働いたと伝えられる。一説によれば、「マルコ伝福音(ふくいん)書」の編集がこのマルコに帰されるが、確かなことはわからない。

[土屋 博]

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20世紀西洋人名事典 「マルコ」の解説

マルコ
Marco Kartodikromo


1890.頃 - 1932
インドネシアの民族主義運動指導者,ジャーナリスト,小説家,詩人。
元・スラカルタ・イスラム同盟委員,元・共産党スラカルタ支部議長。
チェプ生まれ。
1911年インドネシア最初のムラユ語紙の「メダン・プリヤイ」の記者を経て、’13年スラカルタ・イスラム同盟委員。’24年共産党に入党し、スラカルタ支部議長。’26年共産党の蜂起直後逮捕され西イリアンに流刑され病死。’19年発表の小説「学生ヒジョ」は有名。

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百科事典マイペディア 「マルコ」の意味・わかりやすい解説

マルコ

イエスの十二弟子の一人。1世紀中葉に活動。生没年不明。パウロやバルナバとともに異邦人伝道に携わり,アレクサンドリアで殉教したという。《マルコによる福音書》の著者とするのは疑問視されている。ベネチアの守護聖人。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「マルコ」の解説

マルコ

正式社名「マルコ株式会社」。英文社名「MARUKO CO., LTD.」。小売業。昭和53年(1978)設立。本社は大阪市中央区瓦町。衣料品会社。女性用体型補整下着を販売。ほかにボディケア化粧品・健康食品も扱う。直営店舗を全国展開。東京証券取引所第2部上場。証券コード9980。

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デジタル大辞泉プラス 「マルコ」の解説

マルコ

金魚の一種。絶滅種。丸みを帯びた体形で背びれがない。和金の突然変異種。この種を改良して、肉瘤のあるらんちゅうが作出された。「丸子」の表記もある。「まるっ子」ともいう。

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世界大百科事典(旧版)内のマルコの言及

【原始キリスト教】より

…ただしその信仰内容は,この時期に成立した,福音書をはじめとする,真正なパウロ書簡以外の新約聖書諸文書や使徒教父文書によって立証されている。 まずマルコは,受難・復活に至るイエスの生涯を上記(2)の伝承の編集によって復元し,(1)の伝承の宣教内容(福音)に史的状況をとり戻して,ガリラヤの民衆の位置に立ったイエスとの生を示唆することを目的として福音書を創出した。マタイの場合は,《マルコによる福音書》と(2)の伝承,とりわけQ資料(マタイとルカが,《マルコによる福音書》以外に共通の資料としたと考えられている,主としてイエスの言葉から成る仮説的な資料のこと。…

【コプト】より

…したがってコプト人というのは,元来は〈エジプト人〉のことで,その彼らが,アレクサンドロス大王による征服以来,ギリシア・ヘレニズム文明に接し,ついでローマ支配時代にキリスト教を受容した。伝説では紀元40年代に福音書記者のマルコがアレクサンドリアで布教したのが最初だとなっているが,実際にエジプトのキリスト教化が進むのは,だいたい2~3世紀で,その間に聖書のコプト語訳もなされた。 ローマ帝国は最初キリスト教に対して迫害を加えたが,エジプトも例外でなく,ディオクレティアヌス帝(在位284‐305)のとき,激しい迫害が行われ,のちこれを記念して,この皇帝が即位した284年を元年とするコプト暦を定めた。…

【サン・マルコ大聖堂】より

…イタリアのベネチアを代表するビザンティン・ロマネスク様式の大聖堂。ベネチア商人によってアレクサンドリアから盗み出されたマルコ(以後ベネチアの守護聖人となる)の遺骸を納めるために830年ころ創建され,976年に内乱による火災で倒壊,978年に再建,さらに,11世紀に時の総督コンタリーニDomenico Contarini(在任1043‐70)により現聖堂が建立された(1063‐73)。1807年司教座が置かれる。…

【ベネチア】より

…ベネチアは12世紀以降,セスティエーレ(6区制)を採用し,行政的には町全体が六つの地区に分割されている。すなわち大運河の北東には,サン・マルコ,カナレッジョ,カステッロ,南西にはサンタ・クローチェ,サン・ポーロ,ドルソドゥーロ(ジュデッカ島を含む)の区がある。歴史的にみると,町の政治的・経済的中心はサン・マルコ広場周辺にあり,パラッツォ・ドゥカーレ(総督宮),その私設礼拝堂として生まれたサン・マルコ大聖堂,新・旧行政館,図書館,造幣局などの古い公共的建物が集まっている。…

【マルコ伝説】より

…南スラブ人の間で民族楽器グスレ(グスラ)にあわせて吟唱される一連の口承叙事詩の主人公マルコMarko王子にまつわる伝説。実在の人物である,中世セルビア王国の末期にマケドニア地方のプリレプを首都として君主を自称したブカシン王の長子マルコ王子(1335ころ‐95)を原型とするが,叙事詩の主人公としてのマルコ像には,異教時代の神話や民話の主人公の超自然的能力,オスマン・トルコ支配時代の武力抵抗運動に活躍した山賊・義賊たち(いわゆるハイドゥク)の愛国心も結びつき,民衆の民族独立の悲願を象徴する英雄として口承文学上もっとも人気のある主人公である。…

【マルコによる福音書】より

…四つの福音書のうちもっとも古く,後70年前後に書かれた。ペテロが教示したことをマルコがまとめたとする伝統的説明は保持しがたい。成立地についてはローマ説,ギリシア・小アジア説のほか,ガリラヤ説が有力である。…

※「マルコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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