セーン(読み)せーん(英語表記)Sen, Keshav Chandra

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セーン」の意味・わかりやすい解説

セーン
せーん
Keshab Chandra Sen
(1838―1884)

近代インドの宗教改革者。コルカタカルカッタ)のヒンドゥー教ビシュヌ派信者の家に生まれ、19歳で宗教・社会改革団体ブラフマ・サマージに参加、布教に専心した。しかし、カースト制の撤廃偶像崇拝の否定などの彼の急進的な態度は長老たちと相いれず、1866年には同志とともに分派の「インド・ブラフマ・サマージ」を結成した。この会では、名も姿もない唯一絶対神の信仰が主張され、キリスト教的色彩が強かった。また、セーンには独裁者的傾向があり、そのため信者の反感を招き、会は分裂し、晩年のセーンは不遇であった。

[増原良彦 2018年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セーン」の意味・わかりやすい解説

セーン
Sen, Keshav Chandra

[生]1838. カルカッタ
[没]1884.1.
インドの宗教改革者。ビシュヌ派の家に生れ,大学教育を受けたのち,銀行に勤めた。 1857年ブラーフマ・サマージに入会。初め D.タゴールの信頼を受け,59年頃からキリスト教的影響を強く受けた急進的な改革運動を展開したが,長老派に受入れられず 66年分裂し,翌年新しいブラーフマ・サマージの組織をつくった。カースト制度の全廃,幼児婚や一夫多妻の禁止,寡婦再婚の容認婦人の社会的地位の向上,会員相互のための婚姻法の制定,教育の振興,学校や病院の設立など種々の社会改革を行い,組織も大いに発展した。しかし彼の独裁的な態度が内部の批判を受け,さらに自分の幼い娘をヒンドゥー教徒の未成年の王子と結婚させたため反感を買い,多くの会員が離反し,会は分裂した。しかし彼の改革思想は社会的に大きな影響を及ぼした。

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