セミキルド鋼(読み)セミキルドこう(英語表記)semi-killed steel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セミキルド鋼」の意味・わかりやすい解説

セミキルド鋼
セミキルドこう
semi-killed steel

脱酸の程度がキルド鋼リムド鋼中間にある鋼。半鎮静鋼,不完全脱酸鋼とも呼ばれる。低炭素,低ケイ素でマンガンは 0.8%前後含まれる。アルミニウムフェロマンガンなどの脱酸剤が過剰になるとキルド鋼に移行する。溶鋼の凝固進行に伴い,鋼中の炭素と酸素の反応による COガスを適当量発生させることにより凝固収縮を抑えたもので,鋼塊内部には若干の気泡が生じ,頂上部に発生する収縮孔はほとんどみられない。リムド鋼に比べ材質が均等で低温衝撃値が高く,溶接性も良好。キルド鋼に比べて圧延歩どまりがすぐれている。造船用厚板などに用いる。 (→鋼塊 )  

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改訂新版 世界大百科事典 「セミキルド鋼」の意味・わかりやすい解説

セミキルド鋼 (セミキルドこう)

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世界大百科事典(旧版)内のセミキルド鋼の言及

【インゴット】より

…連続鋳造は,非鉄金属では早くから行われてきたが,近年では鉄鋼にも普及し,1980年には日本の粗鋼生産量の60%以上が連続鋳造で生産されるようになった。 造塊法でつくる鉄鋼のインゴットには,製造上からキルド鋼killed steel,セミキルド鋼semi‐killed steel,リムド鋼rimmed steel,キャップド鋼capped steelに分けられ,それぞれ溶鋼の脱酸形式が異なり,独特の凝固パターンを示している(図)。製鋼法における重要な反応は,溶鉄に添加された酸素が溶鉄中の炭素と化合してガス(一酸化炭素)を生ずる反応である。…

【製鉄・製鋼】より

…下注法はキルド鋼など良質の鋼塊をつくる場合に多く用いられる。 鋼塊は溶鋼の脱酸形式によってリムド鋼,キルド鋼,セミキルド鋼に分類される。リムド鋼は低炭素鋼で,鋳込み,凝固中にガスを放出しつつ固まり,周辺部にリム層という不純分が少なく気泡もない層ができるが,その内面に気泡が散在し,中心部は不均質となる。…

※「セミキルド鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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