シラノ・ド・ベルジュラック(英語表記)Cyrano de Bergerac, Savinien

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

シラノ・ド・ベルジュラック
Cyrano de Bergerac, Savinien

[生]1619.3.6. パリ
[没]1655.7.28. パリ
フランス詩人劇作家,小説家。ガッサンディに学んで自由思想の洗礼を受け,当時の政治,宗教,社会を大胆に批判した。笑劇とコメディア・デラルテの影響を受けた散文喜劇衒学者愚弄』 Le Pédant joué (1645) ,韻文悲劇『アグリピーヌの死』 La Mort d'Agrippine (54) ,ラブレーの伝統を継ぎ,ボルテールの『ミクロメガス』の先駆をなす2つの空想小説『月世界旅行記』 Histoire comique des États et Empires de la Lune (57) ,『太陽世界旅行記』 Histoire comique des États et Empires du Soleil (62) やビュルレスク (道化) 調の風刺詩などがある。 E.ロスタンの名作によって,その生涯は伝説化された。

シラノ・ド・ベルジュラック
Cyrano de Bergerac

フランスの劇作家エドモン・ロスタン韻文劇。5幕。 1897年,パリのポルト・サン・マルタン座で初演。 17世紀の実在の詩人,自由思想家シラノ・ド・ベルジュラックを鼻が大きく醜男だが才気煥発無双の剣客に仕立て,そのロクサーヌへの報われぬ恋を中心に史実虚構を織り交ぜた擬古典的韻文劇。自然主義を脱しようとする新ロマン主義と理想主義,安易だが巧妙な劇作法が当時のパリで熱狂的に迎えられた。

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百科事典マイペディア の解説

シラノ・ド・ベルジュラック

フランスの作家。決闘で無敵を誇り,親衛隊に入っても活躍するが,戦傷を負い文筆生活に転身。悲劇《アグリッピーヌの死》,喜劇《衒学者愚弄》や,科学知識を織りこんだユートピア文学《月世界旅行記》《太陽世界旅行記》を書く。ロスタンによる戯曲(1897年)でその名を広く知られる。

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デジタル大辞泉プラス の解説

シラノ・ド・ベルジュラック〔映画:1990年〕

1990年製作のフランス・ハンガリー合作映画。原題《Cyrano de Bergerac》。監督:ジャン=ポール・ラプノー、出演:ジェラール・ドパルデュー、アンヌ・ブロシェ、バンサン・ペレーズほか。第63回米国アカデミー賞衣裳デザイン賞受賞。仏セザール賞最優秀作品賞受賞。

シラノ・ド・ベルジュラック〔映画:1950年〕

1950年製作のアメリカ映画。原題《Cyrano de Bergerac》。監督:マイケル・ゴードン、主演:ホセ・フェラー。第23回アカデミー賞主演男優賞受賞(ホセ・フェラー)。

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