コロンブスの卵(読み)コロンブスのたまご

精選版 日本国語大辞典 「コロンブスの卵」の意味・読み・例文・類語

コロンブス の 卵(たまご)

一見誰でも思いつきそうなことでも、それを最初に考えたり行なったりすることの至難さをいう。また、人の気づかない点をいう。盲点
※相対性原理側面観(1922)〈寺田寅彦〉三「或人コロンバス卵子を想起するであらう。卵子を直立させるには殻を破らなければならない。アインシュタインはそこで余儀なく絶対空間エーテルの殻を砕いた迄である」

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デジタル大辞泉 「コロンブスの卵」の意味・読み・例文・類語

コロンブスのたまご

《大陸発見はだれにでもできると評されたコロンブスが、卵を立てることを試みさせ、一人もできなかった後に卵の尻をつぶして立てて見せたという逸話から》だれでもできそうなことでも、最初に行うことはむずかしいということ。

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故事成語を知る辞典 「コロンブスの卵」の解説

コロンブスの卵

だれでもできそうなことでも、最初に行うのはむずかしい、ということ。

[使用例] 皆さんもご承知の「コロンブスの卵」と同じことで、解決のあとで考えれば至極簡単なことでも、解決前に考えることは容易なことではありません[小酒井不木墓地殺人|1928]

[使用例] それはコロンブスの卵と同じで、聞いてみればだれだって、なーんだと思うかもしれないが[井上ひさし*ブンとフン|1970]

[由来] イタリアの歴史家、ベンゾーニの「新世界史」(1565)に見える、イタリア人の探検家コロンブスにまつわるエピソードから。新大陸を「発見」した後、コロンブスがスペインの貴族たちのパーティに出席したときのこと。「わが国にはすぐれた人材がたくさんいるから、あなたでなくてもだれかが新大陸に到達したことでしょう」と言う人がいました。コロンブスはそれには答えず、「卵をテーブルに立ててみてください」と呼びかけます。だれもできないでいると、彼は卵の尻をつぶして立てて見せました。それによって、居合わせた人は、「だれかがやった後ならば、どうやってそれをすればいいかは、だれにでもわかる」ことを理解したのでした。

[解説] ❶日本にも江戸時代には伝わっていた、有名な逸話。ただし、イタリアの建築家ブルネレスキに似たようなエピソードがあり、コロンブスの話はそれを元にベンゾーニが作り出した、フィクションだと考えられています。❷現在では、発想の転換によって難しい問題を解決する場合や、難しい問題を解決するための斬新なアイデアを思いつく場合などに、用いられます。

〔英語〕Columbus's egg./Eggs of Columbus.

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ことわざを知る辞典 「コロンブスの卵」の解説

コロンブスの卵

一見誰でも思いつきそうなことでも、それを最初に考えたり行ったりすることの至難さをいう。また、人の気づかない盲点のこと。

[使用例] ある人はコロンバスの卵を想起するであろう。卵を直立させるには殻を破らなければならない。アインシュタインはそこで余儀なく絶対空間とエーテルの殻を砕いたまでである[寺田寅彦*相対性原理側面観|1922]

[解説] 大陸発見はだれにでもできると言われたコロンブスが、卵を立てることを試みさせ、だれもできないのを確かめた後で、卵の尻をつぶして立てて見せたという逸話によるもの。

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