コザクラインコ(英語表記)rose-faced lovebird
Agapornis roseicollis

改訂新版 世界大百科事典 「コザクラインコ」の意味・わかりやすい解説

コザクラインコ
rose-faced lovebird
Agapornis roseicollis

オウム目オウム科の鳥。全長約15cm。丸みのある短い尾をもち,ずんぐりした体つきの小型のインコ。羽色は全体に緑色で,額が赤く,顔からのどにかけてはピンクである。上尾筒は鮮やかな青色雌雄は同色。原産地はアフリカのアンゴラ地方から南アフリカの北西部。森林に小さな群れをつくってすみ,木の実や草の種子を食べている。ときには穀類に多くの被害を与える。繁殖期には,岩壁の隙間やシュウダンハタオリドリ類の空いた巣の中に丸天井のある巣をつくり,1腹3~6個の卵を産む。禽舎きんしや)では巣箱を与えると,その中に巣材を運んで大きな球形の巣をつくる。この種は巣をつくるときに巣材を巣まで運ぶ習性が変わっていて,雌は草や樹皮の繊維を一定の長さに細長くくちばしでかみ切り,それを背中や腰の羽毛の間にはさみこんで巣へ運ぶ。飼育下でも,紙切れを与えると,おもに雌が一定の長さに細長くかみ切り,腰の羽毛にはさんで巣箱に運ぶ行動が観察できる。小型で羽色が美しく,つがいの雌雄の仲がたいへんよいことから,飼鳥としてたいへん人気があり,巣引も容易である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コザクラインコ」の意味・わかりやすい解説

コザクラインコ
こざくらいんこ / 小桜鸚
peach-faced lovebird
[学] Agapornis roseicollis

鳥綱オウム目インコ科の鳥。アフリカ南西部に2亜種がある。全長約16.5センチメートルと小形短尾であるが、ボタンインコ類lovebirds中では最大種。体部は緑色で、額から胸にかけてバラ赤色、腰は青色、嘴(くちばし)は黄白色をしている。飼い鳥にされるが、雌雄同色で識別がむずかしい。ボタンインコA. personataと比べると、本種は眼囲が白くないこと、顔の赤が赤色でなくバラ赤色であること、嘴が白っぽいことなどで区別できる。

黒田長久

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コザクラインコ」の意味・わかりやすい解説

コザクラインコ
Agapornis roseicollis; rosy-faced lovebird

インコ目インコ科。全長 16cm。額は赤,顔部から喉,上胸部は淡桃色。後頭,背,,胸腹部は淡黄緑色。腰は青色,尾は淡黄緑色。淡緑色を帯びる白色。アフリカ南西部に分布し,日本にも移入され,よく飼育されている。飼鳥として人気が高く,近年,多くの色変わりの品種がつくりだされている。

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世界大百科事典(旧版)内のコザクラインコの言及

【ボタンインコ(牡丹鸚哥)】より

インコ【斎藤 隆史】。。…

【ボタンインコ(牡丹鸚哥)】より

… 頭部が赤いボタンインコA.lilianal(イラスト),緑色で額が赤いハツハナインコA.taranta,濃い紫褐色をしたクロボタンインコA.nigrigenis,黒褐色で,くびが黄色のキエリクロボタンインコA.personataはすべてくちばしが赤い。額が赤く,顔から胸がピンクで,くちばしが黄色のコザクラインコA.roseicollisとくちばし,額,顔が赤いコハナインコA.pullariaは,ともに頭部は緑色で,腰が青い。マダカスカル島に分布するカルカヤインコA.canaは雌雄異色で,雄は頭から胸が灰色,雌は頭が緑色をしていて,下くちばしの横が灰色である。…

※「コザクラインコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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