グラント(Ulysses Simpson Grant)(読み)ぐらんと(英語表記)Ulysses Simpson Grant

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

グラント(Ulysses Simpson Grant)
ぐらんと
Ulysses Simpson Grant
(1822―1885)

アメリカ合衆国第18代大統領(在任1869~77)。4月27日オハイオ州に生まれる。陸軍士官学校卒業(1843)後、軍隊に勤務、その間にメキシコ戦争に従軍。退役後、農業、不動産業を営み、のちに父親の革製品業を助けた。南北戦争が勃発(ぼっぱつ)すると、大佐としてイリノイ州義勇歩兵連隊を率いた。戦場での定石を破る強引な戦いで数々の武勲をあげ、1864年北軍総司令官になり、翌年アポマトックスにおいてリー将軍の率いる南軍を降服させて、南北戦争終結の大きな契機をつくった。戦後、陸軍臨時長官に任命された。68年の大統領選挙に共和党から出馬し当選、南部再建政策を、北部産業資本の利害を推進する共和党急進派に近い立場から遂行した。しかし2期目(1873~77)には南部改革の熱意はしだいに衰え、贈賄汚職事件も起こった。引退後、世界一周旅行の途中日本を訪問(1879)、琉球(りゅうきゅう)問題について日中間の調停を試みた。その後破産したが、回顧録を書き、鉄道会社社長に就任し、ふたたび財産を築いた。85年7月23日死去。

[竹中興慈]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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