キリ(桐)(読み)キリ

百科事典マイペディア 「キリ(桐)」の意味・わかりやすい解説

キリ(桐)【キリ】

中国原産で,古く朝鮮を経て渡来したゴマノハグサ科の落葉高木。各地で広く栽培され,本州〜九州のところどころの山地に野生化もする。樹皮は淡灰褐色。葉柄が長く対生する葉は大型広卵形で,ときに3〜5裂し,先がとがり,縁には粘り気のある毛を密生する。5〜6月,小枝の先に大型の円錐花序をつけ,多数の淡紫色の花を開く。花冠は唇形(しんけい)で先は5裂し,長さ約5cm。果実は卵形で,長さ3〜4cm。材は柔らかくて軽く,家具,箱,下駄とする。紋章としての桐紋は,葉と花をかたどったもので,菊とならんで皇室で用いられたが,のち足利・豊臣氏など武家の間に広まった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キリ(桐)」の意味・わかりやすい解説

キリ(桐)
キリ
Paulownia tomentosa; princess tree

ゴマノハグサ科の落葉高木。中国大陸の原産で,日本で広く栽培されている。大型の葉は全縁で浅く3~5裂し,長柄で粘る毛をもつ。春,葉の開く前に大きな円錐花序を出し,淡紫色の美しい花を開く。花冠は大型の筒状で先が唇形となる。果実は卵形で木化し,2裂する。種子には翼がある。材は水を吸わず,火に強く軽くて木目も美しいので,たんす,箱,机,楽器,下駄,羽子板などとし用途が多い。木炭はデッサン用,花火の火薬懐炉灰に,樹皮は染料にする。

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