キネトスコープ(英語表記)Kinetoscope

デジタル大辞泉 「キネトスコープ」の意味・読み・例文・類語

キネトスコープ(Kinetoscope)

1889年にエジソンが発明した映写機械。箱の中でフィルムを回転させ、上からのぞいて見るもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「キネトスコープ」の意味・読み・例文・類語

キネトスコープ

〘名〙 (Kinetoscope) エジソンが発明した初期の映写機械。約四〇フィートのフィルムを一秒四六コマの速度で約三〇秒間回転させ、のぞきめがね式の装置で見る。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キネトスコープ」の意味・わかりやすい解説

キネトスコープ
Kinetoscope

1891年アメリカの発明王 T.エジソンが創案した映写機の一種の商標名で,これによって映画が誕生した。その前年 G.イーストマンによって考案された長さ 12.2mのフィルムを,自動装置でぐるぐる回し,下にある電球の光に透かして,上から拡大鏡でのぞくようになっている。この「のぞき映画」は1人しか見られないが,たちまち興行用に採用されて人気を集めた。やがて 95年,大きく投影して多数観衆を同時に楽しませるシネマトグラフ Cinématographe,96年にバイタグラフ Vitagraphが公開され,企業化されて映画事業発展の基礎となった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「キネトスコープ」の意味・わかりやすい解説

キネトスコープ

1889年エジソンが完成したのぞき眼鏡式映写機。キネトグラフで撮影した陽画フィルムを1秒48コマで走らせ,電球の光で透かしながら上から拡大鏡でのぞいて見る。映画の原形といわれ,1896年に日本に輸入された。
→関連項目映画産業

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のキネトスコープの言及

【アクション映画】より

…こうしたジャンル以外にも場所,時間,人間関係などを極限状況に設定して,心理的,あるいは物理的アクションを生み出すという一つの典型的なパターンをふまえる映画は数多い。
[アクション映画の前史]
 《大列車強盗》以前にエジソンは,〈ピープショー〉と呼ばれたのぞき式の〈キネトスコープ〉で,アクロバット,レスリング,芸をする犬や猫や熊,闘鶏,ベリー・ダンス,空中ブランコ,拳銃の曲射ち,バッファロー・ビルの率いる〈ワイルド・ウェスト・ショー〉といった寄席やサーカスや珍しいスポーツの妙技(スタントstuntと総称され,ここからスタントマンの名が生まれる)を撮影して見せていた。1896年に演芸場でのスクリーン映写(バイタスコープvitascopeと呼ばれた)が始まると,同じショーを生の舞台で見慣れてきた観客は,当然これらの白黒で無声の60秒程度の映像に〈複製〉された出し物にあきたらず,むしろ舞台では見られないもの,すなわち一方ではナイアガラ瀑布(ばくふ)や突進している機関車といった自然や機械の驚異,他方では鍛冶屋や歯医者や床屋や中国人の洗濯屋といった近所の日常的光景,そしてもちろん時事的な話題(大統領の選挙演説など)をスクリーンで見たがった。…

【映画】より

…1912年10月,フランスの連続活劇《ジゴマ》の公開反対キャンペーンを載せた《東京朝日新聞》の記事の見出しには,〈活動写真の映画(フィルム)に現れた犯罪鼓吹熱〉という表現が使われ,映画作品を指すことばに移りつつあることがわかる。 〈活動写真〉ということばはエジソンのキネトスコープの訳語で,1896年1月31日付の《時事新報》の記事の見出しに使われたのが最初だという。〈キネトスコープ〉が神戸に輸入されるのは同じ年の11月のことである。…

【日本映画】より


【動く写真の到来――最初の日本映画】
 日本における映画の歴史は1896年に始まる。この年,エジソンのキネトスコープが輸入され,神戸の神港俱楽部で初公開された。のぞき眼鏡式のものとはいえ,これが日本最初の映画興行である。…

※「キネトスコープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android