キサンガニ(英語表記)Kisangani

デジタル大辞泉 「キサンガニ」の意味・読み・例文・類語

キサンガニ(Kisangani)

コンゴ民主共和国北東部の都市。旧称スタンリービル。コンゴ川中流ボヨマ滝付近に位置する。古くからアラブ人交易要地であり、19世紀末、探検家ヘンリー=スタンリーが訪れ、町を開いた。20世紀初頭に鉄道が開通し、農産物集散地工業都市として発展した。

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改訂新版 世界大百科事典 「キサンガニ」の意味・わかりやすい解説

キサンガニ
Kisangani

中部アフリカのコンゴ民主共和国(旧,ザイール)の中央北部,コンゴ川の中流に沿った港町。オート・コンゴ州の州都。人口68万3000(2004)。かつてはスタンリービルと呼ばれ,首都レオポルドビル(現,キンシャサ),南部のエリザベートビル(現,ルブンバシ)に対抗する政治経済の中心であった。旧名は1883年探検家H.スタンリーによって開かれたことにちなむ。キンシャサから1700kmある河川航路の終点で,1906年さらに内陸に通ずる鉄道が開通して,商工業の中心として発展。金属製品やビールの生産,綿花や米の集散が重要な産業で,空港もある。
執筆者: コンゴ動乱当時,ルムンバ派の最重要拠点で,同派のギゼンガが1960年12月にレオポルドビルのモブツ政権に対抗してコンゴ共和国中央政府の樹立を宣言したさい,首都とされたこともある。また64年後半,左派の反政府武装闘争が活発化し,11月に同市在住の白人約1000人が左派の人質となったため,その救出を理由として米軍輸送機が約800人のベルギー空挺部隊を降下させ,国際的な論議の的となった(スタンリービル降下事件)。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キサンガニ」の意味・わかりやすい解説

キサンガニ
Kisangani

コンゴ民主共和国北東部,オリエンタル州の州都。1966年までスタンレービル Stanleyville。赤道のやや北,コンゴ川上流のルアラバ川沿岸に位置。探検家ヘンリー・M.スタンレーをはじめヨーロッパ人のかつての前進基地で,1883年ヨーロッパ人が建設。キンシャサからの 1734kmにわたる河川交通の終点。1906年に上流のウブンドゥと結ぶ鉄道が建設され,キブ州,カタンガ州との交通中継地として発展。コンゴ動乱ではルムンバ派の拠点となり,1964年ベルギーの空挺部隊が降下,一時外国人傭兵部隊に占領された。今日では行政,経済の中心地,周辺の農業地帯で産する米,綿花,コーヒー,カカオを主とする農畜産物の集散地,ビール,家具,衣類などの工業都市として発展。空港,大学もある。上流約 50kmにボヨマ瀑布があり,観光地となっている。人口 68万2599(2004推計)。

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百科事典マイペディア 「キサンガニ」の意味・わかりやすい解説

キサンガニ

コンゴ民主共和国北東部,ザイール川(コンゴ川)沿いの都市。旧名スタンリービル。ザイール川中流の河港で上流50kmにスタンリー滝がある。南方約100kmのウブンドゥまで鉄道も通ずる交通の要地。1877年最初のヨーロッパ人としてH.スタンリーがこの地に到着,旧名は彼の名にちなむ。1960年コンゴ独立時はルムンバ派の本拠となり,1964年9〜11月には同派のギゼンガがコンゴ共和国中央政府をおいた(コンゴ動乱)。78万3000人(2010)。
→関連項目コンゴ[川]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キサンガニ」の意味・わかりやすい解説

キサンガニ
きさんがに
Kisangani

アフリカ中部、コンゴ民主共和国(旧ザイール)北東部の都市。東部州の州都。旧称スタンリービルStanleyville。人口49万7800(2001推計)。コンゴ(ザイール)川上流にあるボヨマ滝(スタンリー滝)の下流右岸に位置する。古くから開けた町で、1877年に探検家スタンリーが訪れたときは、東アフリカからきたアラブ人の通商の要地であった。またベルギーの植民地時代には内陸部開発の拠点となった。1960年の独立以降のコンゴ動乱の時期には、ルムンバ派のギゼンガの率いる国民党の拠点となり、64年、ベルギー軍の落下傘部隊が降下し大きな被害を受けた。その後復興し、内陸部の行政、経済、交通の中心地、また農畜産物の集散地、工業都市として発展している。キンシャサからのコンゴ川の河川交通の終点であり、ワゲニア人の簗(やな)漁は観光の目玉となっている。

[赤阪 賢]

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