カヤ

デジタル大辞泉 「カヤ」の意味・読み・例文・類語

カヤ(Kaya)

ケニア南部、モンバサ以南のインド洋沿岸部に点在する森林に囲まれた集落跡。16世紀から17世紀頃にバンツー族系のミジケンダ諸族が移住し、19世紀半ばまで居住していた。現在は諸族の起源神話に結びつく宗教上の聖地として保全されている。2008年、「ミジケンダのカヤの聖なる森林群」の名称世界遺産文化遺産)に登録された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「カヤ」の意味・わかりやすい解説

カヤ (榧)
Japanese plum-yew
Japanese nutmeg tree
Torreya nucifera Sieb.et Zucc.

暖地の森林中に散生するイチイ科の常緑針葉樹。社寺境内などにしばしば大木を見る。高さ25mにもなる高木で,小枝は対生する。葉は螺生(らせい)するが横枝では2列状となり,線形で長さ1.5~2.5cm,先はとがって触ると痛い。雌雄異株で,4~5月に開花し,雄花は前年枝の葉腋(ようえき)に単生して楕円形,おしべは4輪生して多数,雌花は新枝の下部葉腋に2個ずつつく。このうち1個のみが翌年の秋に石果様に熟し,楕円形で長さ約3cm。初め完全に包んでいる紫赤色の仮種皮を割って浅い縦条のある核(種子)を現す。岩手・山形両県から屋久島までと済州島の暖帯林中に散生する。本州日本海側の温帯多雪山地には高さ2mばかり低木となる変種チャボガヤvar.radicans Nakaiが見られる。材は黄白色で,辺・心材の区別が不明りょうであり,加工性・保存性が高く水湿にも耐えるので,建築・器具・土木用に供されるが,とくに大径木の柾目材は碁盤として最高級品であり,宮崎県産が名高い。種子は胚乳に脂肪油の含有が多く,良質の食用油や整髪油がとれ,食用・薬用にもなる。

 カヤ属Torreya北米に2種,中国大陸に3種あるが,分布は限られていることが多い。シナガヤT.grandis Fort.の種子はカヤと同様に食用にされ,薬用にも利用される。
執筆者:


カヤ (茅/萱)

ススキオギチガヤなど,主として屋根をふく材料に用いられるイネ科の植物の総称。古来〈刈屋(かりや)の約〉とか〈上屋(かや)の意〉などその語源について諸説があるが,金思燁によれば〈茅〉にあたる古代朝鮮語が,母音子音ともに日本語の〈カヤ〉に対応しており,朝鮮語に基づく可能性が強い。
執筆者: カヤの茎葉は牛馬の飼料や炭俵の材料のほか,とくに屋根ふき材として用いられた。以前は,屋根ふきのために,部落でカヤ野を共有している場合が多かった。そのなごりである〈かやの〉という地名が各地にある。屋根をふくには多量のカヤと労力を必要とし,1軒だけでカヤを集めたり,屋根をふいたりできないため,カヤ講やカヤ無尽といった協同組織を作って,毎年1,2軒ずつ順に屋根ふきをしていった。カヤを刈り取った翌年良質のカヤを得るためには,晩秋にカヤ野を焼き尽くさねばならず,カヤは一種の作物と見なされ管理されていた。
ススキ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「カヤ」の意味・わかりやすい解説

カヤ

(1)榧と書く。本州〜九州,済州島の暖地の山地にはえるイチイ科の常緑高木。葉は披針状線形で2列に並び,かたくて先は鋭くとがる。表面は濃緑色で光沢があり,裏面は黄白色。雌雄異株。4〜5月に開花。雌花は前年枝の先に2〜3個つき,そのうちの1個が翌年秋熟す。種子ははじめ緑色のち紫褐色になる仮種皮に包まれる。内種皮は赤褐色でかたい。材は碁・将棋盤,建材とし,種子は食べられる。(2)茅と書く。イネ科のススキの別名。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カヤ」の意味・わかりやすい解説

カヤ

ススキ」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカヤの言及

【ススキ(芒∥薄)】より

…ススキはこれらの変種,品種を含めて,日本,朝鮮,中国に分布する。 ススキは風情のある秋草として日本人に愛好されていて,月見には欠かせないものであるが,往時はカヤと呼んでかやぶき屋根をふいたり,炭俵を編んだりした。生態的には日本の乾いた草原の優占種で,森林を切るとまずススキが生え,ススキ原を焼くとススキが栄える。…

【新箸】より

…茅(カヤ)の箸で食物を食べる7月(旧暦では6月)下旬の行事。新箸の祝ともいう。…

※「カヤ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android