カモ(鴨)猟(読み)カモりょう

百科事典マイペディア 「カモ(鴨)猟」の意味・わかりやすい解説

カモ(鴨)猟【カモりょう】

カモを対象とする狩猟で,網猟銃猟がある。網猟では張網,投げ網が行われ,銃猟では待撃ち(立上がりのカモをねらう),寄撃ち(田などに降りているカモに忍び寄って撃つ),鳥屋(とや)撃ち(おとりを配した鳥屋の中から,付近に降りたカモをねらう),沖撃ち(海上のカモに風下から船で近づいて撃つ),まずみ撃ち(たそがれ時に餌を取りにくるカモを田の付近や途中の山の鞍部(あんぶ)に迎撃する)などが行われる。いずれも夕方飛来して早朝に飛び立つ警戒心の強いカモ習性を考えた猟法。日没後の猟は鳥獣保護法で禁じられている。なおカモが集まりやすいように樹木を植え小島などをつくって外界と隔てた池を鴨場(かもば)といい,鴨場猟はおとりをつかいながら引堀に誘導して叉手(さで)網ですくい,すくいそこねて飛び立ったカモはタカを放ってとらせたりする。鴨場は,江戸中期幕府や各大名家などによってつくられた社交場で,明治に入って土地開発が進むと存続が困難になり,しだいに姿を消した。この間,宮内省によって伝統的な鴨猟の保存が図られ,現在では宮内庁所有の千葉県市川市の新浜と埼玉県越谷市の鴨場のみが残る。
→関連項目片野鴨池狩猟

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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