カサン(読み)かさん(英語表記)René Samuel Cassin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カサン」の意味・わかりやすい解説

カサン
かさん
René Samuel Cassin
(1887―1976)

フランス法律家人道主義者。バイヨンヌに生まれる。エクサン・プロバンス大学、パリ大学で法律、経済学などを学び、1914年博士号を取得した。同年、第一次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)し従軍したが、1916年重傷を負う。回復ののち、エクサン・プロバンス大学の教授となり、ついで1929年からパリ大学の教授を務めた。戦争経験によって人道主義に目覚め、1918年に傷病軍人・退役軍人連合を組織し、その会長となった。第二次世界大戦では、ロンドンでドゴール亡命政権の法務大臣につき、大戦後は国立行政学院理事長など多くの要職についた。国際連合においても、フランス代表として総会や国連教育科学文化機関(ユネスコ)で活躍、また1946年から1955年まで国連人権委員会の副委員長、1955年から1957年まで委員長を務めた。その間に世界人権宣言起草にも携わった。このような長年にわたる国際平和および人権擁護の功績に対し、1968年にノーベル平和賞が贈られた。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カサン」の意味・わかりやすい解説

カサン
Cassin,René (-Samuel)

[生]1887.10.5. フランス,バイヨンヌ
[没]1976.2.20. パリ
フランスの法律家,世界人権宣言の起草者。ユダヤ商人の子として生れ,法律を学んだのち,第1次世界大戦に従軍。重傷を負い傷病軍人となったことがその後の人生を変えた。のちにパリで国際法の教授となり,1924~38年フランス代表として国際連盟総会やジュネーブ軍縮会議に出席した。第2次世界大戦後はユネスコの創設に努力し,フランス代表をつとめる (1945~52) 。 46~68年国連大使として国連人権委員会委員長をつとめ,人権宣言の起草にあたった。 65~68年ヨーロッパ人権裁判所所長。シオニストであり,ユダヤ人の権利を訴えた。 68年ノーベル平和賞を受賞

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「カサン」の意味・わかりやすい解説

カサン

フランスの法律家,政治家。パリ大学,ハーグ国際法研究所,ジュネーブ国際問題研究所の各教授,ド・ゴール亡命政府法相を歴任ユネスコ創立に参画,1948年の世界人権宣言の起草に当たり,国連人権委員会委員・議長(1946年―1968年),1962年以降,ヨーロッパ人権裁判所長官として活躍。1968年ノーベル平和賞。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android