オランダ領アンティル(読み)オランダりょうアンティル

精選版 日本国語大辞典 「オランダ領アンティル」の意味・読み・例文・類語

オランダりょう‐アンティル ‥リャウ‥【オランダ領アンティル】

(アンティルはAntillen) 小アンティル諸島にあるオランダ自治領ベネズエラの北西、カリブ海に浮かぶアルバ島キュラソー島、ボネル島などからなる。

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デジタル大辞泉 「オランダ領アンティル」の意味・読み・例文・類語

オランダりょう‐アンティル〔‐リヤウ‐〕【オランダ領アンティル】

Nederlandse Antillen》カリブ海の小アンティル諸島にあったオランダの自治領。ベネズエラ北西沖にあるキュラソー島アルバ島ボネール島、およびプエルトリコの東に位置するシントマールテン島南部・サバ島シントユースタティウス島の6島により1954年に発足。首都はキュラソー島のウィレムスタッドに置かれた。1986年にアルバが分離、2010年にキュラソーシントマールテンが分離し、解体。他の3島(BES諸島)は本国に編入された。
[補説]オランダ領アンティルを構成した6島は地理的に二つのグループに分かれ、このうちカリブ海南部のベネズエラ沖に連なるアルバ島・ボネール島・キュラソー島の3島はABC諸島、約800キロに離れたカリブ海北東部に位置するシントマールテン島・シントユースタティウス島・サバ島の3島はSSS諸島と総称される。また、オランダ領アンティル解体時に単独の自治領とならず、特別自治体としてオランダ本国に編入されたボネール島・シントユースタティウス島・サバ島の3島はBES諸島と総称される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オランダ領アンティル」の意味・わかりやすい解説

オランダ領アンティル
オランダりょうアンティル
Nederlandse Antillen

西インド諸島東部,小アンティル諸島にあった,かつてのオランダ自治領。ベネズエラ北西岸沖にあるキュラソー島(→キュラソー)とボネール島(→ボネール)からなる南部島群と,それらの北東約 800km,リーワード諸島中にあるシントエースタツィウス島(→シントエースタツィウス),サバ島(→サバ),サンマルタン島南部(→シントマールテン)からなる北部島群によって構成された。行政府所在地はキュラソー島のウィレムスタト。南部島群はおもに火成岩からなる比較的平坦な島々で,サンゴ礁に囲まれる。初めスペイン人が入植したが,17世紀前半岩塩資源を求めてやってきたオランダ人が占領。17~18世紀奴隷や農産物の貿易で繁栄。オランダ領西インド諸島と呼ばれたが,1845年オランダ領の 6島を統合。1954年名称をオランダ領アンティルに変更し,内政自治権を獲得した。1986年,アルバ島(→アルバ)が分離。20世紀ベネズエラの油田が開発されてから,アメリカ合衆国資本による石油精製が盛んになり,1985年から自治政府が買い上げて運営し,主産業となった。北部島群は火山島で,最高点はサバ島の 860m。南部島群ほど乾燥は著しくなく,ハリケーンが多い。17世紀前半ヨーロッパ人が入植,サトウキビ,ワタの栽培と中継貿易で繁栄。公用語オランダ語であるが,南部島群ではパピアメント語(スペイン語,オランダ語,ポルトガル語混成語),北部島群では英語が優勢。2010年にオランダ領アンティルが解体され,各島はオランダの自治領または自治体として,それぞれ分離した。面積 800km2。人口 20万4000(2010推計)。

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改訂新版 世界大百科事典 「オランダ領アンティル」の意味・わかりやすい解説

オランダ領アンティル (オランダりょうアンティル)
Nederlandse Antillen

カリブ海にあるオランダ領の島群。総面積800km2。人口18万5500(2005)。主都はクラサオ島ウィレムスタット。15世紀末にコロンブス,オヘダ,ベスプッチにより次々と発見された。17世紀以降オランダ領となり,ナポレオン戦争の際,一時イギリスに占領されたが,1816年再びオランダ領となった。2グループに分かれる6島から成っている。一方は,ベネズエラ北部沖の,アルーバ,ボナイレ,クラサオのABC3島で,他の一群はプエルト・リコの東にあってリーワード諸島に属するセント・マールテンサン・マルタン)とサバおよびセント・エウスタティウスの3島である。オランダ語が公用語であるが,パピアメントPapiamentoと呼ばれるヨーロッパ諸語とアフリカ系言語との混合語が話される。オランダ王国の一部をなしているが,1954年の同国憲章で内政の自治権が認められ,民選の首相がこれを行使し,対外関係だけは女王任命の総督の権限に属しており,一院制の議会がある。島は,いずれも禿山状の丘陵をなし,標高が低いために降雨量は少なく,植物の生育が困難で,消費財,生産財は輸入でまかなわれている。17,18世紀はオランダ人の奴隷貿易,プランテーション,密貿易で栄えたが,その後衰退し,近年,諸島全体の経済が実質上完全に依存しているのは,大規模な精油所と船積み施設を擁し,人口の集中が見られるクラサオ,アルーバ両島での石油精製・貯蔵部門で,諸島全体の輸入の85%以上は原油,輸出の95%以上は石油が占めるに至っている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オランダ領アンティル」の意味・わかりやすい解説

オランダ領アンティル
おらんだりょうあんてぃる
Netherlands Antilles

西インド諸島にあったオランダの自治領。カリブ海南部、ベネズエラの北西にあるアルーバ島、キュラソー島、ボネール島と、リーワード諸島中のサン・マルタン島(島の北部はフランス領)、サバ島、セント・ユスタティウス島の6島からなる。1986年にアルーバ島が単独の自治領として分離。残った5島も2010年に解体、キュラソーとサン・マルタン両島は単独の自治領となり、ボネール、サバ、セント・ユスタティウスの3島はオランダに編入された。1995年当時の面積809平方キロメートル、人口20万7333。中心都市はキュラソー島のウィレムスタット。住民の多くは先住民、アフリカ人、スペイン人、オランダ人などの混血。オランダ領アンティルは、オランダ王国憲章に基づきオランダと同等の立場に立ち、ほぼ独立国に等しい政治体制を有したが、外交、防衛についてはオランダが権限をもっていた。

[菅野峰明]

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百科事典マイペディア 「オランダ領アンティル」の意味・わかりやすい解説

オランダ領アンティル【オランダりょうアンティル】

カリブ海,ベネズエラの北部海岸沖にあるアルバ,ボネール,クラサオのABC3島と,これから北東に約800km離れた小アンティル諸島北部にあるシント・マールテン,シント・エウスタティウス,サバの3島からなる。17世紀以降オランダ領となり,大西洋奴隷貿易プランテーションなどで栄えた。経済はクラサオ,アルバ両島の石油精製,貯蔵部門に実質上,完全に依存している。1954年から内政自治が行われていたが,1986年にアルバ島が離脱して単独自治領となったのに続き,2010年10月にはオランダ領アンティルそのものも解体。クラサオ,シント・マールテン両島は単独自治領に,その他の島々は本土へ編入された。主都ウィレムスタット。980km2。19万9929人(2009)。

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