ウーリー(英語表記)Charles Leonard Woolley

改訂新版 世界大百科事典 「ウーリー」の意味・わかりやすい解説

ウーリー
Charles Leonard Woolley
生没年:1880-1960

バビロニアの都市ウル発掘したことで有名なイギリスの考古学者。ロンドンに生まれ,オックスフォード大学で古典学と神学を学び,1905年アシュモリアン博物館のA.エバンズの助手となったが,07年からピートリー門下のD.ランダル・マッキーバーによるヌビア調査において発掘法を学び,12年大英博物館カルケミシュ発掘隊の隊長となり,ここで〈アラビアロレンス〉として著名なT.E.ロレンスと共に発掘に従事した。テル・エルアマルナで当時としては珍しい工人街を発掘してのち,大英博物館・ペンシルベニア大学合同ウル発掘調査隊長に選ばれ,22-34年にウルとウバイドを発掘してシュメール文明の再現に大きく貢献し,ナイトに叙せられた。この発掘を中心に一般向けに出版された《カルデア人のウルUr of the Chaldees》(1929)および《過去を掘るDigging up the Past》(1930)は,いわゆる〈大洪水層〉の発見と相まって古代オリエント世界に関する知識ならびに考古学の普及に大きく寄与した。ウルの発掘を終えて,35年からシリアに転じ,アララクなどの諸都市を発掘した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウーリー」の意味・わかりやすい解説

ウーリー
うーりー
Sir Charles Leonard Woolley
(1880―1960)

イギリスの考古学者。父は聖職者。オックスフォードのニュー・カレッジを卒業後、アシュモレアン博物館で同館の鑑査官を務めていたエバンズ卿(きょう)の助手を務め、考古学活動に入る。ヌビア、カルケミシュなどでの発掘活動ののち、1922年から34年まで念願のウルの発掘を続け、輝かしい成果を収めた。「王墓」の発掘、「ノアの洪水」の証拠の発見などは有名である。ウルに関する学術書、啓蒙(けいもう)書など多数の著書がある。

吉川 守]

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百科事典マイペディア 「ウーリー」の意味・わかりやすい解説

ウーリー

英国の考古学者。1907年からエジプトメソポタミアなどの各地で考古学的調査を行い,これら古代文化の相互関連を研究の主題とした。〈アラビアのロレンス〉として知られるT.E.ロレンスとも親しく,政治的工作が発覚し,一時トルコ軍の捕虜になったこともある。1921年―1922年,テル・エル・アマルナの発掘調査,1922年―1934年,大英博物館・ペンシルベニア大学の共同探検隊長として,エルオベイドおよびウルを発掘し,ウル文化の全容を明らかにした。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウーリー」の意味・わかりやすい解説

ウーリー
Woolley,Sir Charles Leonard

[生]1880.4.17. ロンドン
[没]1960.2.20. ロンドン
イギリスの考古学者。オックスフォード大学ニュー・カレッジ卒業。アシュモール博物館助手を経て,1911~14年大英博物館によるカルケミシュ発掘に参加,22~34年大英博物館とペンシルバニア大学の合同によるウル発掘を指揮,36~49年トルコのテル・アッチャナを発掘した。ダブリン大学より名誉学位を得た。著書には『カルデアのウル』 Ur of the Chaldees (1929) ,『過去を発掘する』 Digging up the Past (30) ,『忘れられた王国』A Forgotten Kingdom (53) などがある。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ウーリー」の解説

ウーリー
Sir Charles Leonard Woolley

1880〜1960
イギリスの考古学者
1922〜34年,シュメール人の都市国家ウルを発掘し,その他多くの重要な発掘調査を行った。

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世界大百科事典(旧版)内のウーリーの言及

【ウル】より

…旧約聖書には〈カルデア人のウル〉と記され,またアブラハムの家郷であった。遺跡は19世紀中葉に発見,1922年より34年まで大英博物館,ペンシルベニア大学博物館によって発掘(指揮C.L.ウーリー)され,同時に発掘された近隣のアルウバイドとともに先史時代ウバイド期に関する重要な材料を提供した。シュメールの歴史時代については,前3千年紀前半の初期王朝I期の古拙文書が出土している。…

※「ウーリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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