イノ(読み)いの

世界大百科事典(旧版)内のイノの言及

【ディオニュソス】より

…ゼウスに愛されて子を宿したセメレは,これを嫉妬(しつと)したゼウスの妃ヘラに欺かれ,雷電をもつゼウスに神本来の姿で訪れるよう願ったため,その雷にうたれて焼け死んだが,ゼウスは彼女の胎内から嬰児(えいじ)を取り出し,みずからの腿(もも)に縫い込んで月満ちるのを待った。こうして誕生したディオニュソスは,まずカドモスの娘イノInōに託された。しかしヘラがイノを狂わせたので,ゼウスは彼をひそかにニュサ(所在不明の神話上の地名)まで運ばせ,その地のニンフたちに養育させた。…

【テーベ伝説】より

…彼とハルモニアHarmoniaとの結婚式は,すべての神々が臨席し祝福した盛大なものとされるが,その娘たちには不幸な最期を遂げたものが多い。ゼウスの雷霆(らいてい)にうたれて死につつもディオニュソスを生んだセメレSemelē,わが子ペンテウスを八つ裂きにするアガウエAgauē(エウリピデスの悲劇《バッコスの信女》を参照),海にわが身を投じて果てたイノInōなどである。なおテーベのアクロポリスは,カドモスにちなんでカドメイアKadmeiaと呼ばれたが,ここからは近年バビロニアの円筒印章が出土し,東方との交流のあったことを裏づけている。…

※「イノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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