アヘン(阿片)(読み)アヘン

百科事典マイペディア 「アヘン(阿片)」の意味・わかりやすい解説

アヘン(阿片)【アヘン】

ケシの未熟な果実に傷をつけ,しみ出た液汁を乾固したもの(生アヘン),およびこれを吸煙用,医薬用に加工したもの。麻薬。吸煙用アヘンはエキス状でアヘン煙膏ともいう。アヘンの主成分はアルカロイドで,モルヒネが最も多く,その他コデインパパベリンノスカピンなど二十数種に及ぶ。モルヒネによる鎮痛・鎮静作用,パパベリンによる鎮痙(ちんけい)作用等の薬理作用があり,アヘン末,アヘン散,アヘンチンキなどの製剤として用いられる。疾病外傷などの激痛応急の鎮痛剤として内服するほか,小手術の局所麻酔の補助として用いることがある。アヘン自身が麻薬で,またモルヒネ等の原料ともなるので,国際的にも取締りが厳重,国内的にもあへん法麻薬取締法で規制されている。→アヘン中毒
→関連項目劇薬向精神薬生薬ドーフル散

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アヘン(阿片)」の意味・わかりやすい解説

アヘン(阿片)
アヘン
opium

麻薬の一種。ケシの実からとれる乳液を乾燥したもの。初めは白色液体であるが,空気に触れて凝固し,褐色固体となる。アヘンアルカロイド (モルヒネ,コデイン系およびパパベリン) を含む。アヘンアルカロイドは,鎮痛作用と麻酔作用を有し,嗜癖をもたらすモルヒネやコデインなどのグループと,鎮痛・麻酔作用をもたず嗜癖をもたらさないパパベリンやノスカピンなどのグループに分類できる。中毒性の強いものであるため,麻薬及び向精神薬取締法でケシの栽培,アヘンの製造は厳重に制限されている。アヘン喫煙は 18世紀なかばに中国から全世界に広がった。

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