を‐して
※続日本紀‐天平宝字八年(764)一〇月九日・宣命「精兵乎之天(ときいくさヲシテ)押(おし)しひて壊(やぶり)乱て罸(うち)滅さむと云ひけり」
※大慈恩寺三蔵
法師伝永久四年点(1116)三「両の人の刀を抜けるものを令
(シテ)法師を牽きて壇に上らしむ」
※
吾輩は猫である(1905‐06)〈
夏目漱石〉二「得難き機会は凡ての動物をして、好まざる事をも敢てせしむ」
[
補注](1)多く
漢文訓読において見られる。和文脈文献では「をして」の形を用いず、「して」を用いた。現代でも漢文訓読的文語文として用いられることがある。
(2)平安中期以降は「をして…しむ」の形が固定するが、古くは必ずしも
使役の「しむ」と呼応せず、動作の
主体を手段的に表わす場合もある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「をして」の意味・読み・例文・類語
を‐して
[連語]《格助詞「を」+格助詞「して」》(使役表現を伴い、格助詞的に用いて)動作の主体を強調する意を表す。…に。…を。「私をして言わしむれば」「彼をして走らしむ」
「運命は空しく我―心なき風に訴えしむ」〈漱石・倫敦塔〉
[補説]漢文訓読からの用法。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例