γ-GTP(読み)ガンマジーティーピー

百科事典マイペディア 「γ-GTP」の意味・わかりやすい解説

γ-GTP【ガンマジーティーピー】

胆道から分泌され,肝臓解毒作用に関与している酵素。ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyl transpeptidase)の略。肝臓から処理済みの老廃物は,胆管(肝臓のなかにある枝別れした小さな胆道)を通して十二指腸に排泄されるが,胆道が胆石や癌(がん)などによって詰まると,γ-GTPなどの酵素や老廃物が逆流して,血中の濃度が上がる。 γ-GTPはアルコールを大量に飲んでいる人に特徴的に上昇する。ほかの肝臓検査(GOTGPT)に異常がなく,この値だけが高い場合は,過度の飲酒が原因と考えられる。基準値は検査機関によって多少のばらつきがあるが,男性50 IU/l以下,女性30 IU/l以下であれば正常である。 この値が高い原因としては,飲酒のほか急性・慢性肝炎,薬物性肝障害,肝硬変肝癌黄疸が出るような胆道系の病気なども考えられる。 なお,1997年に発表された九州大学医学部の古野純典教授(公衆衛生学)らの研究によると,コーヒーをたくさん飲む人ほどγ-GTPの値が低くなるという結果が出た。毎日アルコールを30ml以上飲み,コーヒーをまったく飲まない人の平均値が45 IU/lだったのに対して,コーヒーを1〜2杯飲む人は約40 IU/l,3〜4杯では約35 IU/l,5杯以上は約30 IU/lだという。緑茶紅茶など,カフェインを含むほかの飲み物では,γ-GTPが下がったという結果が出なかったことから,コーヒーのなんらかの成分が関与していると考えられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「γ-GTP」の意味・わかりやすい解説

γ-GTP
ガンマジーティーピー
γ-glutamyl transpeptidase

γ-グルタミルトランスペプチダーゼの略で,蛋白質を分解する働きをする酵素の1つ。腎臓に最も多く含まれ,次いで,膵臓,肝臓,血液細胞などに含まれる。これらの組織炎症などで障害されるか,腫瘍などで異常に細胞量が増加すると,γ-GTPの血中濃度は高くなる。肝炎や転移性肝癌心筋梗塞などの診断に使われるほか,特にアルコールに敏感に反応するので,アルコール性肝障害の検査法として利用される。

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内科学 第10版 「γ-GTP」の解説

γ-GTP

γ-glutamyl transferase, γ-glutamyl transpeptidase,ガンマグルタミルトランスフェラーゼ,ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ

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世界大百科事典(旧版)内のγ-GTPの言及

【肝機能検査】より

…胆汁中に分泌される胆汁酸およびコレステロールの血清中の濃度も上昇する。また胆汁流の障害に伴って,肝臓が障害されてアルカリホスファターゼ,γ‐グルタミルトランスペプチダーゼγ‐glutamyl transpeptidase(γ‐GTP),ロイシンアミノペプチダーゼ(LAP)など胆道系に存在している酵素と,肝細胞中のグルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼglutamic oxaloacetic transaminase(GOT)やグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼglutamic pyruvic transaminase(GPT)などの酵素が血中に出てくるため,血清活性値が上昇する。しかも,これらの血清酵素活性値の変化には,障害の部位や性質に応じて特徴がみられるため,これらの検査は黄疸の鑑別診断に役立つ。…

※「γ-GTP」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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